「回復期のリハビリ」OT編Ⅱ
服を着たり脱いだりするのは片手だとかなり難しい。
介護士なので、更衣の脱着の基本は、着る時は麻痺側、動かしづらい方から着る。脱ぐ時はその逆で、動かせる方から脱ぐという事は知っていた。
それは自分で更衣をする時も同じだ。以前はどちらから着ても脱いでも全く問題はなかった。だが、マヒがあると話は違う。
OTのリハビリでも自分で更衣が出来るように何度も練習をした。
服を畳むのも片手ではなかなか綺麗に畳めなかった。
左手が動かせるようになると、こうも違うものかと両手が使える有り難さを実感した。
OTのリハビリの先生が左手と右手の掌を見比べる。親指の付け根に筋肉があり、使っている右手には膨らみがある。でも、麻痺側の左手には膨らみが明らかにない。あまり使っていないため、筋肉が退化しているという。
それをマッサージしながら少しでも動かしやすいように筋肉に刺激、筋肉を集める?数分後、右手と同じように膨らみが出来た。
今までリハビリに関わることがなかったが、今回の入院によって、リハビリの先生って職人だなぁと思った。全身の筋肉や身体の仕組みを知り、この動きにはこの筋肉を使う、動きづらい原因を探りながら、アプローチしていく。素人には理解しづらい。リハビリ職を目指している実習生が数名来ていたが、指導者に「この動きはどこの筋肉?」等質問されていた。1つの動作に複数の筋肉を使う。始めは、そんな質問にも答えられない実習生が、約2ヶ月後、患者に歩いてもらい、「どうだった?この方の課題は?」と先生から聞かれると、評価ができるまでに成長していた。
数年前のコロナ禍では、実習もできない時期があって大変だったと聞く。
仕事が終わると、研修もちょくちょく行われ、患者のケースカンファレンスやら、上司にリハビリの報告をし、指導してもらうらしい。皆、本当に真面目で熱心な先生が多かった。
超高齢化社会により、医療費の圧迫で、リハビリの報酬もどんどん減らされ、リハビリができる日数や時間も減らされている。報酬が低いと、先生達のお給料も医療従事者ではあっても、結婚をしても共働きが必要だと聞いた。
