「回復期のリハビリ」歩行練習Ⅲ
4点杖と補装具があれば日中、病棟内を1人で歩く許可をもらえた。
日中、暇さえあれば歩く練習をした。そういう患者がいっぱいいて、
廊下の所々にソファーが置いてあり休憩が出来る。そうして顔見知りになり、患者同士仲良くなりお互いに励まし合ったり、情報交換したりして
気持ちが分かり合える半身麻痺仲間同志となり、時には嫉妬したりもした。
あの人はもう杖無しで歩けるようになった。いいなあー。と自分と比べてしまう。もっと練習頑張ろうと積極的にリハビリに取り組んだ。
日中がOKになると、今度は夜間も1人で歩いて良いという許可をもらうため、夜間のトイレの時に、ナースコールで看護師さんを呼び、見守ってもらう。それを数日行い、回診の時に看護師さんから先生に大丈夫だったよと報告されると終日の病棟内の独歩が許可されるのだ。
次の目標は4点杖から1点杖に切り替えること。
バリアフリーの歩きやすい屋内であれば多点でも1点でも問題なく使えるが、外に出ると多点杖よりも1点杖の方が安定して歩ける。また、多点杖は重いので、長距離を歩いていると肩や首が凝る。
1点杖を使って歩行できるのはリハビリの時だけ。と同時に、補装具を作る方向で動き出した。PTの先生の5、6人が補装具の検討会を行なってくれる。私の歩き方を何度も見て動画も撮り、どの補装具を作るのがいいか、患者の一人一人、その時の状況に合わせて検討を重ね、こういう補装具がいいのではという意見がまとまると、作製する技師さんに患者が歩いて見せ、意見を伝え、最終的にこういう補装具を作ろうと決断する。
だが、私の場合、急激に歩行が出来るようになり、足先からふくらはぎを覆う補装具はかえって動きを悪くしてしまうので、内反防止の小さい補装具で良いのでは?と技師さんが意見し、小さい補装具を試しに装着。これを借りて1週間様子をみようという話になった。
と同時に、PTのリハビリの時間に、補装具を装着しないで歩く練習も始めていた。歩く練習をしていくうちに、内反のクセがあまり出なくなっていた。長期に渡って、PTの先生が、地道な体重移動をみっちりやってくれたおかげである。
先生と一緒に補装具無しで外にも散歩に行くようになっていた。いつの間にか補装具が必要ないまでになっていた。周りのリハビリの先生達は本当にこの短い期間で急激に歩けるようになって行く過程を見て驚いていた。それぐらいリハビリの効果が出て、歩けるようになっていた。
4点杖から1点杖に切り替える許可もおり、最終的には、補装具も作る必要はないという結果になった。
そして、いよいよ、杖なしで歩く練習を始めるのである。
