リハビリ病院入院生活⑪

「回復期のリハビリ」歩行練習Ⅳ

外散歩にはいくつかのコースがある。病院の周りは300メートル。次はじゃり道を含む600メートル、次が1キロメートル、そして2キロメートルと決まっているコースを、天候やその日の体調に合わせてリハビリの先生と一緒に歩く。

外に行く時は病棟の看護師さんに了解を得てから行く。

今までは病室から散歩に行く人達を見送って、「いいなア」と羨ましがっていた。それが、いよいよ自分も外散歩デビューとなると嬉しくて仕方がない。同じ病室の患者仲間でも、「今日外に行ってきたよ〰︎」というと

ちょっとした自慢話になる。

私の担当のPTの先生はちょこちょこ外散歩に付き合ってくれた。

私はもともとは車派で、ちょっとした距離でも車で行っていたが、

今は運転が出来ない。それに、歩く練習が出来る事が嬉しかった。

先生と「ここのラーメンショップは美味しいらしい」とか、「畑のナスの実が大きくなった」とか話しながら歩くのは楽しかった。

杖も4点杖から1点杖になり、ついには先生に杖を持っていただき、自分は杖なしで歩かせてもらう時間を少しづつ増やしていった。あんなに杖無しが怖かったが、杖があればもちろん楽に歩けるが、杖なしでも長距離でなければ歩けるまでになっていた。急性期病院に入院して約4ヶ月が経とうとしていた。

まだ左足の感覚は戻っていない。踵が床についているかも見なければ分からない。だけど、人間って不思議なもんで、感覚がなくてもなんとか歩けるのである。退院を間近に控えた7月中旬、すでに暑い日が続いていた。

PTの先生はなるべく早い時間にリハビリの時間をセッティングしてくれ、少しでも涼しい時間にと外を歩く練習に時間を割いてくれていた。

そのおかげで、退院後も早朝に起きて外散歩に行くのが億劫にならず、毎朝の日課になった。

真夏の8月、9月もひたすら歩き続けた。真っ黒に日焼けした。始めは20分位が杖無しでやっとだったのが、1時間以上歩き続ける事が出来るようになった。いまだに感覚は鈍い。「歩ける悦び」は、歩けなかった期間が長ければ長い程大きくなるのだろうと思う。

タイトルとURLをコピーしました